一切の動作は肚で抜き、肚で斬り、肚で納める
気海丹田の満つるを要とす。斯して鍛錬の功を積み其の動作姿勢体度円熱し、天地正大の気おのづから生ずる気の位ひを得て常に泰然自若、而も一且発しては忽ちにして雲を呼び風を起すの夫動力大霊力を養ふを以て至極とし、総じて形に捉はる事無く
(業形より入りて業形を脱す)
とかく初心のうちは自分の力で斬りにいくものだが自分の力で斬るのではなく刀の力で斬るものである。其の為には、斬る事に力を使い切るのではなく頭から背骨に抜ける不動の軸を作ってやる事にも力を使わなくてはいけない。不動の軸により遠心力と重力の力で刀の動きは強さと正確さを得ることができる。
肩甲骨は多くの筋肉(僧帽筋・広背筋・大菱形筋・小菱形筋・大円筋・小円筋・棘下筋・棘上筋・肩甲下筋・三角筋・前鋸筋・上腕二頭筋長頭・上腕二頭筋短頭・小胸筋・烏口腕筋・上腕三頭筋内側頭・肩甲舌骨筋・肩甲挙筋など)と繋がっている。その一方で肩甲骨は鎖骨の1点でしか骨には繋がっていない。
動きとしては胸鎖関節・肩鎖関節・肩甲上腕関節・胸肋関節・肋椎関節・脊柱の椎間関節・生理学的関節の肩甲胸郭関節・肩峰下関節と連動する。
熟練した居合は、自由闊達、融通無碍、臨機応変にあらゆる状況に対応できなければいけない。其の為には、多くの筋肉を動員できてかつ自由な動きが可能である肩甲骨を十分に活用できなければいけない。
肩甲骨から指先までが 腕という感覚で、肩甲骨を上手に使い、肩甲骨を中心に動かす事によって、不動の軸と強く正確な剣先の動きが可能になる。言い換えると、正しい肩甲骨の使い方が正しい腕の使い方を導き出す。